【思いを大切に履く...店主の独り言】
そのお履き物はご自分でご購入になったものでしょう
か。
ご結婚の折に、ご両親にお支度していただいたものかもしれません。
また、ご家族の方から譲り受けた思い出の品である場合もあるでしょう。
物には作り手の思いがこもります。
そのお履き物は、幾人もの職人が誰ともわからない履く方への思いを込めて作った品です。
いろんな人の思いがこもったお履物。
寿命がくるまで大切に履いていただければと願っております。
昔。祖母である2代目が申しておりました。
『火鉢で手を炙っとっても、人の挿げた履物はさわらん。
挿げてもらったところへお行きん。』
火鉢で手を炙るとは、暇を持て余しているということです。それほど暇であっても他の店で
買った履物など手を痛めてまで、すげ替えなどしたくないということでしょう。
地域に一軒は下駄屋があった時代はとうになくなりました。
もしも祖母が生きていたらなんと言うか...。
けれども、せっかくご自身のお履き物があるのに履けないのはお気の毒です。自分達にできることならさせていただこうという思いに至りました。
当店で購入されたものは責任を持って。また、他店のものはご奉仕の気持ちでお直しさせて
いただきます。
経年劣化したお履き物は、年数が経つほどに麻紐が硬く締まり鋲は錆びるため、ほどく時に手を痛めることも少なくありません。
また、触った端からぼろぼろと崩れてしまうものもあります。
扱いには細心の注意を払いますがときには古いもの、保存状態が良くなかったものなどは、作業中に壊れてしまうこともあります。それは寿命であったということ。
ご容赦いただくより他はなく、それでも良いからという場合のみ、すげ替えを承ります。
足を入れたときスッキリと気持ちよく収まり、一日中履いていても疲れない、履く人の足にピッタリと合ったそんな履物が挿げられるように日々精進して参りたいと存じます。
自分のところで挿げているからこそ出来るすげ替え
すげ替えには『花緒の取り替え』と『台の取り替え』の二通りがあります。
花緒がくたびれてきても台がしっかりしていれば花緒のすげ替えが出来ます。
花緒を替えるだけで見違えるようになります。
逆に、花緒がしっかりしていて下駄の台が減った時、今付いている花緒を取って新しい台に挿げ
替えることも出来ます。
布、合皮はもとより、特に皮の花緒(蛇・トカゲ・印伝など)は高価ですので一代で捨ててしまっては勿体ないです。ぜひ、台の交換をお勧めいたします。
雪駄に付いていた花緒を、またその逆に下駄に付いていた花緒を雪駄にという場合もございます。
ご遠慮なくお申しつけくださいませ。
どちらもご本人にお越しいただき足に合わせるのが理想ですが、諸事情により無理な場合もございます。
ご本人のご来店がかなわない場合は、履く方の靴のサイズと幅広・甲高がどうか、および体格を
お知らせください。
なお、当初ついていた花緒をほどいて新しい台に挿げ替える時、またお持ち帰りになる時は、
べつに【ほどき代】を頂戴する場合があることをお許しください。
下駄屋にはそれぞれ独自のすげ方があり、他店のものは手順が違います。
また、麻ひもは本麻・ナイロン麻ともに長く時間が経てば経つほどに、きつく締まりほどけにくくなるため、ほどきに時間がかかり時間がかかったり手を痛めることがあるのです。
≪花緒の調整≫年齢を重ねたり、太ったり痩せたりなど、体格が変わると足のサイズが変わります。
また、近年、花緒の中心に通っている紐の素材の多くが、麻からナイロンに替わりました。
麻は一度締めると緩みにくいかわりに水に弱く切れやすいという特徴があります。
ナイロンは水には強いのですがやがて伸びてきます。そのためどうしても緩みがでます。
きつければ足が入らなかったり花緒が食い込みますし、緩ければ花緒を持ち上げて歩か
なければならず、疲れたり花緒ずれの原因になります。
どちらも痛いものです。
調整をすることにより、ピッタリと足に合う履きやすい履物になります。
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